ビットコイン相場乱高下 「SECがETF承認」偽情報で
【ニューヨーク=竹内弘文】代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコイン相場が米東部時間9日夕、乱高下した。米証券取引委員会(SEC)のX(旧ツイッター)公式アカウントがハッキングされ、「ビットコイン上場投資信託(ETF)申請を承認した」との偽情報が流出。直後にSECが情報を否定し、市場が混乱した。
米コインマーケットキャップによるとビットコイン相場は、同午後4時すぎにXに投稿された偽情報をきっかけに一時、4万7900ドル程度まで急伸し、2022年2月以来の高値を付けた。ただ、手掛かりとなった書き込みが虚偽のものとわかると相場は急落。4万5200ドル程度にまで下げる場面もあった。
SECのゲンスラー委員長は自身のXで「許可されていない書き込みがなされた。SECは現物ビットコインのETFの上場を承認していない」と否定し、米CNBCによるとSEC広報担当者も虚偽であることを確認した。偽の書き込みはその後、削除された。
ビットコインETFを巡っては、米ブラックロックなど複数の大手機関投資家が上場申請をしている。SECは承認の可否を示す期限を10日と定めていた。承認されれば投資家層が広がるとの期待感から、ビットコイン相場は昨年秋から上昇基調となっていた。
SECの情報発信がハッキングによってゆがめられるのは極めて異例だ。実行犯など背景は明らかになっていないが、SECの発信をかたることで相場を操作する意図があった可能性がある。
日経新聞 2024年1月10日 7:47 (2024年1月10日 8:09更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN100A70Q4A110C2000000/